読後に世界がズレる|これはペンです 円城塔の核心
「これはペンです 円城塔」と検索したあなたは、おそらくこう感じているはずです。
意味がわからない? 評価は高いけど自分には難しい?
私自身、最初に読んだときは正直“何が起きているのかわからなかった”側の読者でした。しかし読み終えた後、ある一点に気づいた瞬間、この作品は「読めない小説」から「忘れられない小説」へ変わりました。本記事では、その正体を丁寧に解きほぐします。
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これはペンです 円城塔|どんな作品なのか

『これはペンです』(円城塔)は、一般的なストーリー小説とは真逆の読書体験を与える短編です。
事件もクライマックスもほぼ存在せず、代わりに前面に出てくるのは言語・定義・論理のズレ。
タイトルの「これはペンです」は、中学英語の最初に学ぶ例文ですが、作中ではこの当たり前の文が当たり前でなくなる。
ペンとは何か、これは本当に「これ」なのか、言葉が指し示す対象は本当に共有されているのか──。
円城塔は、SF作家であり数学的思考の持ち主として知られています。本作もその特徴が色濃く、読者の理解力を試すというより、思考の前提を壊す作品です。
一次情報として、本作は円城塔の短編集『エンデュランス号漂流』に収録されており、文学的にも高い評価を受けています(河出書房新社刊)。
なぜ「難解」と言われるのか|実体験からの失敗談
私が最初に『これはペンです 円城塔』を読んだとき、15分で挫折しました。
理由はシンプルで、「意味を理解しよう」としてしまったからです。
多くの読者レビューでも
- ストーリーがない
- 何を言いたいのかわからない
- 読んでいて不安になる
といった声が目立ちます。しかしこれは欠点ではなく、狙い通り。
円城塔は、「物語を読む態度」そのものをズラしてきます。
論理が破綻しているように見える部分も、実は言語の定義が少しずつずらされているだけ。ここに気づけないと、読者は迷子になります。
私は2回目、“理解しようとするのをやめる”ことで最後まで読めました。
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【アハ体験】この作品は「小説」ではなく「思考実験」
ここで大きな気づきがありました。
『これはペンです 円城塔』は、小説ではなく思考実験なのです。
哲学で言う「言語ゲーム」や「記号と対象のズレ」を、物語形式で体験させている。
つまり、わからないと感じた時点で、すでに作品の中に入り込んでいる。
理解できない自分が間違っているのではなく、
「理解できない」という感覚こそが、作者の提示したテーマ。
この瞬間、読書体験が反転しました。
これはペンです 円城塔|どんな人におすすめか
この作品が刺さるのは、次のような人です。
- 普通の小説に物足りなさを感じている
- 言語・論理・哲学に興味がある
- 「わからなさ」を楽しめる
- 伊藤計劃・筒井康隆・スタニスワフ・レムが好き
逆に、明確なストーリー展開や感動を求める人には向きません。
万人向けではないが、刺さる人には一生残る──それが『これはペンです 円城塔』です。
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おすすめ書籍|収録作品で読む
本作は短編集に収録されています。
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エンデュランス号漂流|円城塔(河出文庫)
他の短編も含め、円城塔ワールドをまとめて体験できます。
よくある質問(FAQ)
Q1. これはペンです 円城塔は初心者でも読める?
読めますが、「理解しようとしない姿勢」が重要です。
Q2. オチはありますか?
明確なオチはありません。読者側に思考が残る構造です。
Q3. 何回読むと理解できますか?
2回目以降で「体験として」腑に落ちる人が多いです。
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まとめ
『これはペンです 円城塔』は、
- 読者の思考前提を揺さぶり
- 言語の不確かさを体験させ
- 「わからなさ」そのものを作品化した短編
です。
理解できなかったなら、それは失敗ではありません。
すでに、円城塔の思考実験に参加している証拠です。
👉 今すぐ読む
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この一編で、「読む」という行為の意味が変わる人は確実にいます。









